【2026年8月時点の情報です】
厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、女性税理士(勤務税理士)の平均年収は約536万円です。税理士はライフスタイルに応じた働き方を選択できるなど、女性が能力を発揮しやすい職業であり、女性税理士の割合は現在の約16%から今後増加すると予測されています。
本記事では女性税理士の平均年収や初任給、メリット・デメリット、女性税理士が売上を増やすポイントについて解説します。
税理士のうち女性税理士の割合
日本税理士会連合会の発表によると、令和6年度末(2025年3月末)時点における税理士登録者数81,696名のうち女性税理士は13,034名、全体の約16.0%です。
女性税理士の割合は16.0%と高くはありませんが、最近の税理士試験合格者数では女性の割合が高まっており、今後は女性税理士が増えると予測されています。2023年度税理士試験合格者をみると、5科目到達者600名のうち女性が141名(23.5%)、一部科目合格者6,525名のうち女性が1,978名(30.3%)を占めています。
【参考】税理士界(会務報告)|日本税理士会連合会(令和6年度登録事務事績)
女性税理士(勤務税理士)の平均年収
厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査(経験年数・男女別集計)によると、女性税理士(公認会計士を含む職種区分、全経験年数平均)の推計年収は535.97万円であり、男性税理士の965.45万円と比べると低い額となっています。男女計の推計年収は796.86万円です。
| 区分 | 令和6年(万円) | 参考:令和5年以前の目安 |
|---|---|---|
| 男女計(全経験年数平均) | 796.86 | ― |
| 男性(全経験年数平均) | 965.45 | ― |
| 女性(全経験年数平均) | 535.97 | 555.1(2023年調査) |
| 女性・経験年数0年 | 377.45 | 326.4(2023年調査) |
| 女性・経験年数15年以上 | 729.29 | 650前後(2023年調査・目安) |
経験年数別(男女計)の推移は次のとおりです。経験年数が上がるほどおおむね上昇しますが、5〜9年の層でいったん落ち込むなど単純な右肩上がりではありません。
| 経験年数 | 男女計・所定内給与×12+年間賞与(万円) |
|---|---|
| 0年 | 401.98 |
| 1〜4年 | 531.69 |
| 5〜9年 | 491.97 |
| 10〜14年 | 624.82 |
| 15年以上 | 1,056.0 |
【引用】令和6年賃金構造基本統計調査(第14表)|厚生労働省より作成(原資料から千円の位で四捨五入しています)
女性税理士の初任給
上記の経験年数0年の推計年収を初任給の目安としてみると、女性税理士は377.45万円(月額換算で約31.5万円)、男性税理士は425.84万円(月額換算で約35.5万円)となります。ただし「経験年数0年」はその職種での経験年数が0年の労働者を集計したものであり、税理士資格を取得したばかりの人の初任給を直接示す数値ではない点に留意が必要です。
事務所規模別に見ると、令和7年調査(男女計)では次のような差があります。
| 企業規模 | 推計年収(万円・令和7年、男女計) |
|---|---|
| 10〜99人 | 808.7 |
| 100〜999人 | 828.3 |
| 1,000人以上 | 800.1 |
大手税理士法人は研修制度や福利厚生が体系化されている一方、中小事務所は早期に幅広い業務を任される傾向があり、初任給以外の学習機会や裁量の大きさで比較検討することが実務上は重要です。未経験者や科目合格者の場合は、実務経験や合格科目数に応じて個別に条件が設定されることが一般的で、上記の統計値より低い水準からスタートするケースもあります。
【引用】令和6年・令和7年賃金構造基本統計調査(第14表)|厚生労働省より作成(原資料から千円の位で四捨五入しています)
女性税理士の平均年収は経験年数に比例
税理士の年収は経験年数に伴って上昇することが一般的であり、女性税理士においても同様です。令和6年調査では、女性税理士の推計年収は経験年数0年の377.45万円から、経験年数15年以上では729.29万円まで上昇しています。
【引用】令和6年賃金構造基本統計調査(第14表)|厚生労働省より作成(原資料から千円の位で四捨五入しています)
女性が税理士として働くメリット・デメリット
税理士は男女の性差に関係なく、努力に応じて顧問先から高い評価と収入を得られる職業です。また開業税理士という働き方が可能であり、女性税理士の約68%が開業税理士です。
しかし、女性が税理士という職業を選択することにメリットがある一方で、男性と同様にデメリットもあります。
女性が税理士として働くメリット
全国女性税理士連盟の調べによると、女性にとって税理士という職業の魅力として次の内容があげられています。
- 税理士試験は1科目ずつ合格すればよい“科目合格制”で女性のライフスタイルに合わせて受験しやすい
- 法人の勤務、個人の勤務、開業、勤務との兼業など、働き方が選択できる
- 税法は毎年変わるが勉強さえしていれば、ライフスタイルに合わせて休んだり、復帰したりできる
- 国家資格であるため、就職に強い。税理士の募集は全国にあるため、例えば夫の転勤先においての就職なども可能である
- 「きめ細かい」「優しい」「親切」などの比較的女性の特性といわれる長所を存分に活かせる
女性が税理士として働くデメリット
女性が税理士として働く際の主なデメリットは次のとおりであり、男性税理士とほぼ同じです。
- 繁忙期が長く、長時間労働など激務となることがある
- 税法改正などに合わせた継続的な勉強時間を確保する必要がある
- 出産や育児などで一時的に顧問先担当から離れることがある
女性税理士の場合、出産や育児のために顧問税理士として対応できない可能性があります。このため顧問先によっては顧問契約を継続できない場合や、人手不足で後任の税理士に十分に対応してもらえない危惧を想定することもあります。
税理士側の事情で顧問契約を継続できない状況となった場合を事前に想定しておくことが大切です。
女性税理士が求められる顧問先とは
顧問先から女性税理士を求められる代表的なケースは次のとおりです。
- 女性向けビジネスの男性経営者
- 同性への相談を好む女性経営者
- 女性の細やかな気配り、丁寧な応対などを期待する経営者
- 人当たりの良い女性税理士を好む経理担当者がいる企業
- 男性が急逝した場合の女性相続人
気配りや優しさなど、個人の性格や顧問先との相性に影響される部分はあるものの、女性税理士は男性・女性の両方から求められるといえます。
また近年は女性の新規開業が活発です。新規開業者をみると、日本政策金融公庫の『2025年度新規開業実態調査』(2025年12月公表)では新規開業者の25.7%が女性で過去最高となっており、今後は女性社長が増加すると予測されており、女性税理士の活躍の場が増えることが期待されています。
【参考】2025年度新規開業実態調査|日本政策金融公庫総合研究所
開業した女性税理士の年収と働き方
女性税理士の約68%が開業税理士であり、勤務税理士とは収入の仕組みや働き方の裁量が大きく異なります。開業を検討している女性税理士に向けて、事務所売上の目安と両立しやすい働き方を整理します。
開業税理士の平均的な事務所売上
総務省・経済産業省の経済センサス-活動調査(令和3年)によると、税理士事務所の1事業所当たり平均売上高は4,926万円、従業者1名あたり平均売上高は936万円です。従業者1〜4名の事業所(全体の62.1%を占める)に限ると、1事業所当たり平均売上高は2,087万円となっています。開業直後の女性税理士の多くはこの1〜4名規模に該当すると考えられ、事務所売上の当面の目安として参考になります。開業税理士の年収については「開業税理士の平均年収は?所属税理士との違いと売上アップのポイントを解説」もあわせてご確認ください。
【参考】総務省統計局|令和3年経済センサス-活動調査 結果(事業所に関する集計 統計表7-1)
子育てと両立しやすい開業スタイル(在宅・オンライン顧問)
開業税理士は面談の時間や頻度を自身の裁量で調整しやすい働き方です。自宅を事務所とする在宅開業、訪問せずクラウド会計とオンライン面談で完結させるオンライン顧問など、子育て中でも継続しやすいスタイルを選ぶ女性税理士が増えています。顧問先を訪問型からオンライン型へ切り替える際は、対応できる業務範囲や緊急時の連絡方法をあらかじめ顧問先とすり合わせておくことが実務上のポイントです。
開業1〜3年目に顧問先を増やすには
開業初期は前職の人脈や紹介による受注が中心になりやすく、顧問先数が安定するまでに時間がかかる傾向があります。異業種交流会や士業ネットワークへの参加、女性経営者向けコミュニティでの情報発信など、既存の勤務先の枠を超えた接点づくりが有効です。また、開業税理士向けの各種支援機関のサービスを活用し、提案ツールや営業資料を整えることも顧問先開拓のスピードを上げる一助になります。
女性税理士が働きやすい事務所となって売上を増やすポイント
税理士事務所は人手不足が続いているため、優秀な女性税理士が離職すると大きな損失となります。
女性税理士がライフステージの変化に応じて長く勤務し、無理なく能力を発揮できることで、事務所の収益向上を進めることができます。
女性税理士が働きやすい事務所づくりのポイント
女性税理士が働きやすい職場となる主なポイントは次のとおりです。
- 産休・育休、ファミリー休暇などの整備
- リモートワーク、時短勤務やフレックスタイム制の導入
- 顧客管理、進捗管理などの見える化
- 女性の事情に配慮した事務所内の雰囲気づくり
産休・育休制度は女性スタッフが最も気にする事項のひとつです。気兼ねなく休みをとれるよう、制度導入とともに実際に取得できる体制を整えましょう。
体調や家庭に配慮した多様な勤務形態の導入がおすすめです。さまざまな働き方の導入は男性税理士にとっても職場の魅力のひとつとなります。
体調や家庭の事情による急な休暇・休職が想定されます。後任者が戸惑う、業務が滞留するなどの影響を減らすため、顧客情報や面談記録、業務進捗状況などを“見える化”しましょう。業務や進捗管理方法が属人化しないよう、会計事務所向けの顧客管理・タスク管理システムを導入すると効率的です。
採用面で悩む事務所は、「税理士を採用したい!中小税理士事務所の採用成功ポイントとは」もあわせてご確認ください。
上記の施策は事務所内のスタッフの理解を得られてこそ効果を発揮します。周囲のスタッフが協力しやすい雰囲気となるよう意識付けを図っておきましょう。
女性税理士の悩み事はサポートツールを活用
女性税理士が仕事と家庭を両立するための悩み事は男性税理士に共通するため、女性税理士が活躍するツールを導入することで、事務所全体の生産性向上を期待できます。
女性税理士の悩み事と解決ツールのパターンについて、全国約1,700事務所が利用している「経営革新等支援機関推進協議会」のサービスをもとにまとめると次のとおりです。
| 女性税理士の悩み事 | 協議会のサポートツール |
|---|---|
| 急な休みで周囲に負担をかけたくない 業務進捗を細かく説明する時間がない | 業務進捗・タスク管理が容易なクラウド型業務統合システム 『会計事務所の業務 with kintone』 |
| 休職や短時間勤務をしたいが事務所が人手不足 | 人財採用から育成までワンストップ対応 『HRパッケージ』 |
| 休職中に担当を任せる後輩スタッフを育成したい | 動画研修プログラム 『ACADEMY』 |
| 新人スタッフが顧問先へ財務分析・提案をできるようにしておきたい | 財務支援システム 『F+prus』(エフプラス) |
| 万が一の顧問契約解約に備える新規顧客開拓を効率的におこないたい | 各種制度活用の提案ツール 補助金などの申請書サンプル・マニュアル |
| 同業事務所の実践例を知りたい | 最新情報のセミナー |
女性税理士事務所の新規開拓・付加価値化は協議会がサポートします
女性税理士の平均年収は約536万円と比較的高く、また柔軟な働き方を選択できる職業です。
ライフステージの変化による影響を受けやすい女性税理士が活躍できる事務所となるために、経営革新等支援機関推進協議会は、さまざまなツールの提供により事務所経営をトータルでサポートしています。
全国約1,700事務所が利用する経営革新等支援機関推進協議会のサービスは、月額30,000円(税抜)で利用できます。
事務所の経営にお悩みがある会計事務所様は、ぜひ経営革新等支援機関推進協議会のサービス活用をご検討ください。税理士の年収全体を勤務・開業別に整理した「税理士の年収はどれくらい?勤務・開業別の収入と年収を上げる方法」もあわせてご覧ください。
















